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掛け軸の鑑定
掛け軸の鑑定につきまして、一般的には鑑定というと、その掛け軸が本物であるかどうか、つまり真贋の鑑定の事を指します。しかし、最近はテレビの鑑定と番組の影響などもありまして、いわゆる買取り査定に該当するような、金銭価値の査定の事として広く捉えられるような傾向が見られます。そこで、ここでは買取り査定における金銭価値の判定の事も含めて鑑定として参考までにご説明したいと思います。
鑑定のポイントとは?
まず何と言っても真贋(しんがん)の鑑定でしょう。その掛け軸が本物であるのかニセモノであるのかによって、買取りの値段は天と地ほども違ってきます。真贋の鑑定については、明治期以降の有名作家の作品については所定の鑑定人が真贋を見定める事となっています。ですので鑑定のポイントとしては、責任を持って鑑定してもらえる所定の鑑定人に依頼するということに尽きます。もちろん、現代の有名作家で、本人がご存命の場合はご本人が真贋の鑑定をする事になります。
この事は、裏を返せば江戸期以前の掛け軸については、円山応挙や渡辺崋山などの極めて高名な作家の作品であっても、責任をもって真贋を判定する所定の鑑定人がいないという事になります。この場合は、最終的に真贋の鑑定の責任を取れる者がいませんので、出来る限り信頼のおける鑑定人に依頼するということになります。これらの方に、作品を持って鑑定依頼をすると、鑑定証を発行してもらえますので、作品と一緒にして保管しておくとよいでしょう。
鑑定証は査定に関係があるの?
気をつけなければならないのは、所定鑑定人以外の発行する鑑定証である場合、鑑定証があるからといって買取り金額の査定にあまり影響を与えない事があるという点です。これは、真贋を決定づけるものではないため、あくまでも参考資料という扱いに留まってしまうからです。従って、江戸期以前の掛け軸の作品の場合につきましては、最終的には現品を詳細に見て、画の題材や画材、和紙の質などで総合的に判断するより他にないのです。腕のある鑑定人であれば、上記に加えて掛け軸の放つオーラのような力強いエネルギーをもとに判断する事も出来るようです。
金銭価値の判定とは?
真贋の判定がついたならば、次に金銭価値の判定という意味での買取り査定ということになりますが、これについては、絵の掛け軸の場合には下記事項が鑑定の要素になります。特に保存状態については、鑑定番組でもよく取り上げられているように、掛け軸の価値に大きな差を生みますので、注意すべきポイントです。骨董的掛け軸は、もちろんコレクションとしての側面が否定できませんが、あくまでも掛け軸は掛けて鑑賞するためのものですから、保存状態が悪く、絵の見栄えが良くないようでは掛け軸としての評価は、低くなってしまわざるを得ないのです。
また、表装や箱については、描かれた当時のオリジナルのものの方が評価が高くなるのは、言うまでもありません。昨今はインターネット時代ですから、掛け軸の取扱店によっては、メールに写真を添付して送付するだけで、簡易鑑定を受けてくれる所があります。正式に鑑定を依頼すると5万円から10万円程度の費用がかかりますので、正式鑑定の前に利用されるのもよいと思います。
何れにしても、信頼のおける取扱店に依頼するのがポイントです。