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掛け軸の長さによる分類
掛け軸を選ぶときに、サイズの表記として「尺八」「尺五」などの表記があります。
普段耳慣れない言葉ですが、飾る場所によって書画の味わいは変わってくるものです。
いざ手に入れてからなんだかバランスが悪い、となってしまわないようにサイズを示す用語の意味を理解しておくことが大切です。
「尺八」「尺五」ってどういう意味?
「尺八」「尺五」などの言葉は「一尺八寸」「一尺五寸」という言葉を略したもので、掛け軸の中でもポピュラーなサイズを表しています。
これは掛け軸自体が一尺八寸(一尺は約30.3cm、一寸はその1/10の約3.03cm)なのではなく、書画を表装する前の【 絵を描く用紙のサイズ 】となっています。
書画が完成した後、軸として仕立てるために表装する際に両サイドを切り落し、化粧断ちと呼ばれる仕上げをするので、尺五(一尺五寸=約45cm)という表記であっても、実際の書画のサイズはそれよりやや幅が短くなります。
表装した掛け軸のサイズは?
では、実際に掛け軸になったときのサイズについて見ていきましょう。
掛け軸は基本的にすべてが決められたサイズで作られているわけではありません。
表装の方法や作家によって少しずつ異なりますが、先ほどの尺八などの用語にくわえて「立」「横」「あんどん」といった分類があり、
それによって大体これくらいのサイズにおさまる、という見当をつけることができます。
長さの分類
縦の長さは「立」>「あんどん」>「横」
丈の長さからこのように分けることができます。
これを先ほどの「尺八」などの用語と合わせると「尺八立」であれば約190〜200pほど、「尺五立」では170〜190cmほどの丈の作品が多く、
同じ「尺八」でも「尺八横」であれば丈が150cmほどに短くなり正方形に近い形に、
「尺五あんどん」であれば「立」と「横」の中間、160cmほどになっているものが多いです。
横幅については作品によってまちまちですので、確認をしておきましょう。
書画を販売している美術店や表具店では一般的に尺五のものが一番多く扱われています。
また、さらに小さな「尺三」というサイズもあり、マンション、アパートなどの小さな床の間にも丁度いいサイズとして親しまれています。
それ以外には「半切立(作品サイズ約34×135cm)」「尺巾立」と呼ばれるものがありますがどちらも尺五よりほんのすこし小さく、尺巾立については半切立よりも更に少しだけ幅が短いものを差します。
一般的な床の間のために最初に買うのであれば、まず種類の多い尺五から検討してみると良いでしょう。
どうしても欲しい書画の構図が自分の欲しいサイズにない、という事もありますが
店舗によってはクオリティの高い印刷コピーによって、人気の尺八、尺五サイズの書画を尺三などの小さいサイズに仕立て上げたものも販売しています。
インテリアとして楽しむ際には、自分の好みに合っていて、飾る予定の場所に一番映えるサイズの書画を根気よく探してみることも重要です。
これだけさまざまなサイズがあるということは、それだけ書画を飾るときにはバランスが重要だという事です。
同じ書画でも立って見た時、座って見た時という差だけでも印象が変わってきますので
一番美しく感じられるバランスで飾るために、サイズをしっかりと吟味しましょう。
その際には自在鍵という丈を変更できるタイプのフックを使うと高さを調節するのに便利です。
掛け軸をこれから楽しみたいという人には必須の用具ですので、さまざまな書画の味わいを堪能するためにぜひ手に入れておきましょう。