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表装の質と価格の違い
表装とは?
表装とは、一言で説明すると、「しわ」を伸ばし、本来の色と艶を取り戻すことです。
書画の本紙を掛軸や帖などに仕立てることであり、安土桃山時代から伝わり、室町時代に掛軸形式の鑑賞絵画が発達した為に表装技法が発達し、江戸時代に形式が整い、現在に至っています。
この「しわ」は、掛け軸などにある墨の水分により、紙が寄ってしまうことによって発生します。「しわ」を伸ばして裏に一枚紙を打つことで、元々の艶が取り戻せますし、表層は、よい質を長期保管していく為には、とても重要な工程の一つです。
経験と技術で質が大きく変わる
表装は、素人でもできることはできますが高価なものであれば、専門の業者やお店に依頼する方が安全です。
しかし、表層の専門店や業者であっても価格はピンからキリまであります。最終的な仕上がりの質は、同じ価格であっても表具師の経験と技術で大きな差が生まれます。
最近では、特に最初の裏打ちに手を抜いて作業を簡素化し、本来剥がさなければけいない箇所を剥がさずに、そのまま新しい物に取り換えてしまう業者も目立ってきております。
そういった専門的な知識は、一般人には到底判断する事は出来ず、手を抜いたかどうかは全くわかりません。
数カ月、あるいは数年経ってから、ようやくそのことに気づく場合もあるので注意が必要です。
高額とは限らない
表装に知識が薄い人は、表層は専門職なので高額なのでは?と思ってらっしゃる方が多いかもしれません。
しかし、最近では機械打ちが普及した為、手ごろな価格で注文出来るようになってきています。
布質や素材によっても異なり、数千円から数万円までの注文もあり価格に幅があります。
また、同じ表装修理内容でも価格は業者によってマチマチなので、大体の予算を予め伝えておいたほうが良いでしょう。
修理内容は、その掛け軸の状態によって異なります。例えば、膠(にかわ)による絵具止め、裏打ち紙の除去、欠損部分の修復や折れ・切れ部分の補強など様々です。
注文時には、表装方法の確認を!
掛け軸表装は、伝統表装と機械表装・プレス表装の大きく2種類の表装方法に分かれます。
この2種類の内容は、大きく異なっており、慎重にどちらの表装方法を選ぶのか、見極めることが重要です。
お店によっては、『伝統表装』か『機械表装』なのかハッキリと明記していない所もあります。そのようなお店では、予めどちらの表装であるか確認した方がよいでしょう。
近年では、寺院などの大切な宝物を機械表装とは言わず表装に修復してしまう、といったような被害も多く見受けられます。どちらの方法を選択し、価格も検討したうえで依頼をするのが良いでしょう。
表装と具体的な価格例
表装には、もっとも一般的な『丸表装』があります。これは、一文字以外をすべて同じに仕上げる方法で価格もお手ごろです。
お店やサイズによっても価格は異なりますが、八つ切りサイズの無地では、大よそ3千円前後、全紙サイズでも大よそ1万円前後でしょう。
そのほか、『明朝表装』、『茶掛け表装』、『大和表装』、『仏表装』など、掛け軸の種類によって、色々な表装がありますが価格は一般的には後者になるにつれて上がっていきます。
『本金裂地』は最も格式高い表装であり、これは安くても3〜5万円前後の価格となり、高いものでは10万円を軽く越えるものもあります。
以上が表装の質と価格の違いについてのポイントです。
表装の質は、業者やお店によって価格はマチマチでありますが、予め表装方法と価格を業者と確認し、納得した方法と価格で依頼することがとても大事であると言えるでしょう。